【SOX法】NASDAQとNYSE上場におけるSOX法の影響

【SOX法】NASDAQとNYSE上場におけるSOX法の影響

NASDAQNYSEに上場する際、日本企業が直面する最大の課題はSOX法(サーベンス・オクスリー法)への対応です。
この法律は、内部統制や財務開示に関する厳格な基準を課し、上場準備には多大な時間とコストがかかります。

主なポイント:

  • SOX法の要件
    • Section 302: CEOやCFOが財務報告の正確性を認証する義務
    • Section 404: 内部統制の評価と監査が必要
  • NASDAQとNYSEの違い
    • 両取引所ともSOX法準拠が必要だが、外国私募発行体(FPI)には柔軟性あり
    • NASDAQはForm 20-Fでの報告が可能、NYSEでは監査人の検証が義務付けられる
  • 日本企業の課題
    • 英語での財務書類作成
    • 会計基準のUS GAAPまたはIFRSへの移行
    • 上場準備コストは約1億~3億円

NASDAQNYSEの比較表:

項目 NASDAQ NYSE
独立取締役の設置 必須 必須
内部統制の整備 必須 必須
外国私募発行体対応 Form 20-Fで代替可能 Form 20-Fで代替可能
内部統制監査 独立監査人の検証は柔軟性あり 独立監査人の検証が義務

結論:
米国市場での上場は成長の機会を提供しますが、SOX法対応には多大な準備が必要です。内部統制の構築や専門家のサポートを活用することで、効率的な対応が可能です。

SOX法の主要要件

SOX法では、以下の2つの重要な要件が定められています:

  • Section 302: CEOやCFOが四半期・年次報告書の正確性と内部統制の有効性を認証する義務があります。
  • Section 404: 経営者が年次の内部統制を評価し、それを独立監査人が検証する必要があります。

次のセクションでは、NASDAQとNYSEにおけるこれらの要件の適用方法を詳しく比較していきます。

NASDAQ vs NYSE: SOX要件

基本的な上場要件

NASDAQとNYSEの両方では、財務、ガバナンス、開示基準が設けられており、SOX法(サーベンス・オクスリー法)への準拠が求められます。それぞれの取引所におけるSOX適用状況について詳しく見ていきましょう。

取引所固有のSOX規則

■ NASDAQ

  • 独立取締役および監査委員会の設置が必要
  • 内部統制システムの整備が必須
  • 外国私募発行体(FPI)はForm 10-Qの提出が免除され、Form 20-Fで代替可能

■ NYSE

  • 独立取締役および監査委員会の設置が必要
  • 内部統制報告に対して、独立監査人による検証が義務付けられている
  • NASDAQと同様に、SOX法の基本的なコンプライアンス要件を遵守

両取引所とも、外国私募発行体に対して一定の柔軟性を持つ規制を導入しています。次に、日本企業がこれらの規則に対応する際に直面する具体的な課題について掘り下げていきます。

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日本企業が直面するSOX法遵守の課題

前のセクションで説明した取引所ごとの要件を踏まえ、日本企業が上場準備中に直面する主な課題を以下にまとめます。

英語での開示義務

Form 20‑F、四半期報告書、内部統制報告書、経営者宣誓書など、すべての書類を英語で作成する必要があります。

会計基準の変更

日本基準(J‑GAAP)からUS GAAPまたはIFRSへの移行には、会計システムの改修が求められます。また、米国の会計基準に詳しい専門人材の確保も重要です。

コストの管理

主な費用には、監査費用、人件費、システム導入費用などが含まれます。米国でのIPOにおける総コストは、約100万~300万米ドル(約1億~3億円)と見積もられています 。

次のセクションでは、SOX法に準拠するための具体的なステップについて解説します。

SOX法遵守のためのステップ

前節で課題を整理した内容を踏まえ、ここでは具体的な準備手順を紹介します。SOX法を遵守するためには、主に以下の3つのステップが必要です。

これらの準備は、通常、2~3年前から進めることが一般的です:

  • 内部統制システムの構築
    会計システムの改修、業務フローの文書化、統制設計などを含みます。
  • 独立取締役や委員会体制の整備
    ガバナンス体制を強化し、透明性を高めるための基盤を整えます。
  • 予算策定
    主な費用の目安は以下の通りです:
費用項目 概算金額 備考
投資銀行手数料 5,000万円~1億円 案件規模により変動
法務・会計費用 3,000万円~5,000万円 監査、法務相談を含む
システム導入費用 2,000万円~4,000万円 内部統制システムなどを含む
その他経費 1,000万円~2,000万円 翻訳やマーケティング費用など

専門家によるサポート

スピリットアドバイザーズは、米国資本市場における規制対応を包括的に支援します。当社のサービスには、バイリンガルIPOアドバイザリー、US GAAPやIFRS会計支援、デューデリジェンス、ステークホルダー対応などが含まれています。

まとめ

以下が主なポイントです:

  • 米国でのIPOは厳格なガバナンスやコンプライアンス要件が求められ、IPO期間は通常6~9ヶ月ほどかかります。
  • 外国私募投資家(FPI)はForm 10-Qの提出義務が免除され、代わりにForm 20-Fを提出できます。
  • 米国市場では成長性を基準に評価されることが一般的で、日本市場の実績重視の評価とは対照的です。

Spirit Advisorsは、バイリンガルでのIPO支援、US GAAPやIFRSに基づく会計サポート、デューデリジェンスの実施、さらに上場前後のSOX法対応を包括的にサポートしています。

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