米国IPOにおける日本企業の成功事例5選

米国IPOにおける日本企業の成功事例5選

米国IPOで成功した日本企業の事例を知りたいですか? この記事では、5つの成功事例をもとに、米国市場でのIPOのポイントを簡単に解説します。

  • PicoCELA Inc.: スピリットアドバイザーズと共に2025年1月、NASDAQ上場で約7億円を調達。ディープテック企業として注目。
  • LogProstyle Inc.: スピリットアドバイザーズと共に2025年3月、日系企業初のNYSEアメリカン市場に上場。不動産事業で10億円を調達。
  • Ten Holdings Inc.: スピリットアドバイザーズと共に事業部門を分割し、NYSEでの上場を実現。
  • LINE Corporation: 2016年、東京証券取引所とNYSEで同時上場。初値が公募価格を30%上回る。
  • Kura Sushi USA, Inc.: 米国市場に適応した回転寿司チェーン。現在19州で69店舗を展開。

米国IPOのメリット

  • 成長資金の調達: 世界最大の資本市場を活用。
  • グローバルな知名度向上: 国際的なブランド価値を強化。
  • 高い流動性: 活発な取引で株式の流動性を確保。

成功の秘訣は、事業の明確な成長戦略、専門家との連携、そして市場適応力です。それぞれの事例から学び、自社の戦略に活かしましょう。

1. LogProstyle Inc.: 初のNYSEアメリカン市場上場

LogProstyle Inc.は2025年3月25日、NYSEアメリカン市場に上場し、日本企業として初の快挙をスピリットアドバイザーズと共に成し遂げました。同社は不動産開発、ホテル運営、レストラン事業を展開しており、1株500円(5ドル)で200万株を公開。総額10億円(1,000万ドル)の資金調達に成功しました。

同社のIPO戦略は以下の3つに要約されます:

戦略ポイント 具体的な施策
独自のビジネスモデル 伝統美と現代的な機能を融合させた「Prostyle Ryokan」事業
明確な成長戦略 日本国内での拠点拡大と米国・ドバイ市場への進出計画
グローバル展開の準備 不動産ポートフォリオの国際化と資本基盤の強化

「Prostyle Ryokan」というコンセプトが国際投資家から高く評価されたことが、LogProstyleのIPO成功を後押ししました。

「LogProstyleのNYSEアメリカン市場上場を支援できたことを非常に誇りに思います。日系企業として初めてこの市場に上場を果たしたことで、同社の堅実な事業基盤と成長の可能性が証明されました。LogProstyleの不動産ポートフォリオは、日本の美学と現代的な機能性を融合させたものであり、国際的な投資家からも高く評価されています。」

  • ロバート ユー スピリットアドバイザーズ創業者兼CEO

調達した資金は、「Prostyle Ryokan」の新規出店、米国での合弁事業、ドバイ市場への進出、不動産リノベーション事業の拡大に活用される予定です。

NYSEアメリカン市場への上場は、日本企業が資金調達の新しい選択肢を得るきっかけとなりました。この成功事例は、グローバル成長を目指す他の企業にとっても、具体的な指針となるものです。LogProstyleのアプローチは、今後紹介する事例にも共通する重要なポイントとなっています。

2. Ten Holdings Inc.: 事業部門分割でのIPO成功

Ten Holdings Inc.もスピリットアドバイザーズと共に米国市場での上場を目指し、事業部門を分割するという手法を選択しました。同社は親会社から独立したデジタルコマース部門を基盤とし、収益構造を明確化するとともに、成長戦略を打ち出してNYSEに上場しました。この分割によるアプローチにより、企業価値が適切に評価され、グローバル市場での展開を見据えたビジョンが投資家の信頼を集める大きな要因となりました。この事例は、上場を成功させるための多様な戦略の一例と言えるでしょう。

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3. LINE Corporation: メジャーテック企業のNYSE上場

LINE Corporationは2016年7月14日、ニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場し、当時の世界最大規模のIT企業IPOとして注目を浴びました。さらに、東京証券取引所とNYSEでの同時上場を実現し、アジアと北米の投資家に向けた戦略を展開しました。

公募価格が32.84ドルに設定されていたのに対し、初値は42ドルで取引を開始。約30%のプレミアムがつき、企業価値は約9,300億円と評価されました。以下では、この成功を支えた要因を整理します。

LINE成功の主な要因

  • 戦略的な二重上場: 東京証券取引所とNYSEでの同時上場により、多様な投資家層を取り込むことに成功しました。
  • 過去の経験の活用: 過去の上場準備で得た知見を活かし、課題を克服しながらプロセスを進めました。
  • 市場からの高い評価: 初値が公募価格を大きく上回ったことは、成長性への期待の高さを物語っています。

LINEの事例は、日本企業が米国市場で上場を成功させるためには、戦略的な計画と過去の経験から学ぶ姿勢が重要であることを示しています。この成功は、多国籍市場への挑戦を考える企業にとって良い指針となるでしょう。

4. Kura Sushi USA, Inc.: 米国市場での回転寿司チェーンの成功

Kura Sushi USA

ここでは、別の業界における米国市場参入の成功例を紹介します。

くら寿司の米国子会社である Kura Sushi USA, Inc. は、2008年の設立以来、米国市場で着実に成長を遂げています。2009年にカリフォルニア州アーバインに最初の店舗をオープンし、現在では米国最大級の回転寿司チェーンとして知られています。

米国市場向けのビジネスモデル調整

Kura Sushi USA は、日本発の回転寿司という独自のビジネスモデルを米国市場に合わせて調整し、成功を収めました。その主なポイントは以下の通りです(出典: )。

戦略 具体例
多様なメニュー 140種類以上の商品を提供
品質重視 人工調味料、甘味料、着色料、保存料を使わない
顧客体験 楽しさを重視した体験型の食事を提供

店舗拡大の成果

くら寿司の40年以上のブランド力と550以上の店舗運営経験を活かし、Kura Sushi USA は米国市場で確固たる地位を築きました。2024年11月6日時点で、19州およびワシントンD.C.に69店舗を展開しています。

成功の要因

Kura Sushi USA の成功を支えた要因は次の3つです:

  • 計画的な店舗展開: 入念な市場調査を基に段階的に拡大。
  • 品質の維持: 日本基準の高品質な食材とサービスを提供。
  • 現地適応: 米国の食文化や嗜好に合わせたメニューとサービスの調整。

この事例は、日本企業が海外市場に進出する際、ブランドの強みを活かしながら現地の文化やニーズに対応する戦略の重要性を物語っています。

5. SYLA Technologies Co., Ltd.: テックセクターでのIPO成功例

SYLA Technologies

SYLAもスピリットアドバイザーズと共に、米国市場でのIPO成功を収めた日本企業の一例です。2023年4月にナスダックへ上場し、その戦略的アプローチが注目されています。

IPOの実績と資金調達

SYLAのIPOでは、以下の成果が得られました:

  • 公開価格: 1株8ドル(約1,080円)
  • 公開株数: 1,875,000株(ADS)
  • 調達総額: 1,500万ドル(約20.3億円)
  • 純調達額: 1,360万ドル(約18.4億円)
  • 市場評価額: 2億4,300万ドル(約329億円)

事業展開の特徴

SYLAは、不動産テック分野を基盤とし、以下の領域へ事業を広げています:

  • フィンテック
  • ソーラーエネルギー
  • 暗号資産

2022年6月期には売上高が1億4,000万ドル(約189億円)に達し、事業の成長性を示しました。

成功のポイント

  1. 事業の多角化
    不動産テックを中心に、フィンテックやエネルギー、暗号資産といった分野に展開し、収益源を拡大しました。
  2. 専門家の活用
    米国IPOのプロセスでは、スピリットアドバイザーズがアドバイザリーを行い、Boustead Securities, LLCを引受主幹事に起用。さらに、米日双方の法規制に詳しい法律事務所(Anthony L.G., PLLCとDT Legal Japan)と連携し、スムーズな上場を実現しました。
  3. 資金の活用計画
    調達した資金は運転資金や一般事業に充てられ、顧客基盤の拡大、買収、提携、新サービスの開発に使用されています。

結論

米国でのIPOを成功させるには、十分な準備と専門家のサポートが欠かせません。これまでの事例を振り返ると、成功に共通する要素がいくつか見えてきます。

成功のために重要なポイント

経営体制の整備と専門家との連携

  • 内部統制の構築と、専門家との連携を早い段階で整える
  • 上場企業としての意識を持ち、情報開示の体制を確立する
  • 主幹事証券会社、監査法人、法律事務所との協力関係を築く

上場市場の選択

企業の特性に合った市場を選ぶことが成功のカギとなります。戦略的な市場選択が成功に直結する例も多く見られます。

実務的なアドバイス

1. プロジェクトチームの編成

IPO準備は、少なくとも2年以上前から全社的な取り組みとして始める必要があります。

2. 監査対応の準備

米国会計基準(USGAAP)や国際会計基準(IFRS)への対応を早めに進めることが重要です。

3. 資金使途の明確化

調達資金の使い道を明確に計画し、投資家にしっかり説明できる体制を整えましょう。

米国市場は日本企業にとって有力な選択肢の一つです。その成功には、計画的な準備と専門的なサポートが肝心です。ここで挙げたポイントを参考に、自社の特性に合った戦略を練ることが大切です。

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