Spirit Advisorsのパイオニアディール — 「日本企業米国マイクロキャップIPO」というカテゴリーの創出
メディロム・ヘルスケア・テクノロジーズは、Re.Ra.Ku(リラク)ブランドで東京を中心にリラクゼーションサロンを展開する企業である。2018年頃、同社は米国NASDAQ上場の構想を本格化させた。しかし当時、日本企業が米国市場に直接IPOするという選択肢は、事実上「前例なき道」だった。
メディロムのIPOプロジェクトが動き出した2018年当時、日本企業の米国直接上場は事実上の空白状態だった。過去の先行事例はいずれも、米国上場の本来の目的を十分に実現できていなかった。
| 企業 | 上場年 | 結果 |
|---|---|---|
| IIJ(インターネットイニシアティブジャパン) | 1999年8月 | 米国での取引量伸びず、2019年4月に上場廃止を選択 |
| UBIC / FRONTEO | 2013年5月 | 「14年ぶりの日本企業NASDAQ上場」、2020年初頭に上場廃止 |
| ペッパーフードサービス(いきなり!ステーキ) | 2018年9月 | わずか9ヶ月で撤退 |
FRONTEOの撤退により、2020年時点でNASDAQに上場する日本企業はゼロ。Spirit Advisorsが参画したのは、まさにこの空白の中だった。文字通り「白紙の状態(blank canvas)」からのスタートだった。
メディロムが直面した課題は、一企業のIPO準備にとどまらず、「市場そのものが存在しない」という根本的な問題だった。
日本のマイクロキャップ企業が米国で直接IPOを行うための実務的なロードマップが存在しなかった。F-1登録届出書、PCAOB準拠監査、JGAAP→US GAAP変換——すべてを一から構築する必要があった。
「日本企業の米国マイクロキャップIPO」という市場セグメント自体が認識されておらず、多くのプロバイダーが提示する事例やフィー体系は大型IPOに基づくものだった。マイクロキャップ特有のコスト構造を理解した提案は極めて限られていた。
EY新日本(Big 4)から開始し、Squar Milner LLPに移行、さらに上場直前にBaker Tillyへの統合という異例の展開。適切なサービスプロバイダーを見つけること自体がいかに困難であったかを物語る。
サービスプロバイダーのミスマッチの結果、監査費用・リーガルフィー・トランジションコストにおいて、マイクロキャップIPOとしては過大な負担を強いられた。新市場のパイオニアゆえの「学習コスト」であった。
複数の投資銀行がメディロムへの関心を示したが、フィー獲得への関心と実際のコミットメントには大きな開きがあった。案件を最後まで引き受け、投資家への販売責任を負うパートナーの確保が最大の課題だった。
Spirit Advisorsとそのプリンシパルは、IPOの「ディフェンス」(準備・実務・コンプライアンス面)と「オフェンス」(ディール構成・資金調達)の両面からメディロムを支援した。
前例のない案件だからこそ、実務面の「プレイブック」をゼロから構築した。
最も重要な貢献は、引受証券会社Maxim Group LLCをこの案件に導いたこと。
メディロムは2020年12月29日、NASDAQ Capital Marketに上場(ティッカー:MRM)。COVID-19パンデミックの最中という異例の環境にもかかわらず、$12.0Mの調達に成功。当初想定からのアップサイズを実現した。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 上場日 | 2020年12月29日 |
| 上場市場 | NASDAQ Capital Market |
| ティッカー | MRM |
| IPO価格 | $15.00/ADS |
| 調達額 | $12.0M(グロス、アップサイズ実現) |
| 時価総額 | 約$77M(完全希薄化ベース) |
| 上場後高値 | $17.34(2021年1月8日、IPO比+15%) |
| 引受会社 | Maxim Group LLC |
| 法律顧問 | Greenberg Traurig LLP |
メディロムIPOの最大の成果は、$12Mの調達額やその後の株価推移だけにとどまらない。このIPOは、「日本企業による米国マイクロキャップIPO」という市場カテゴリーそのものを創出した。
F-1登録、PCAOB監査、JGAAP→US GAAP変換のロードマップが、メディロムの案件を通じて初めて体系化された。以降の案件はこのプレイブックに基づいて進行できるようになった。
マイクロキャップIPOに適したコスト構造と専門性を持つサービスプロバイダーの組み合わせが特定された。後続企業は「先駆者のコスト」を支払うことなく、適正なコストでプロセスを進められるようになった。
日本のKK株式をADRとして米国市場で取引可能にするための決済インフラ設計が確立された。トランスファーエージェント調整から既存株主の転換スキームまで、すべてのノウハウが蓄積された。
日本・アジア側のF&F投資家と米国機関投資家の双方から需要を構築するアプローチが確立された。この手法は、Lead Real Estate、Warrantee、SYLA Technologies等すべての後続案件に適用されている。
メディロムで確立されたモデルを発展させた後続の事例については、以下をご参照ください:
スピリットアドバイザーズ
本社
477マディソンアベニュー、6階
ニューヨーク、NY10022
サテライトオフィス
111ノースオレンジアベニュー、スイート800
オーランド、フロリダ州32801
日本支社
〒107-0551東京都港区元赤坂1-2-7 赤坂Kタワー4F